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第三話 出発(後編)


「ただいま、アルコ」
 主人の声が飛び込んでくるやいなや、彼女はつながれた鎖を引きちぎらんばかりの勢いで、大好きな人のもとへ駆け寄った。
「遅くなってゴメンね」
 そう言って頭をなでてくれる主人に、両前脚を上げて抱きつく。
(御主人様、御主人様〜)
 主人が帰ってきたことの喜びで、心がいっぱいになった。嬉しさのあまりおしっこをちびってしまうが、彼女はそれに気が付かない。
「よし、それじゃ散歩いこっか」
 主人は彼女の鎖をはずし、リードをつないだ。一人と一匹は顔を見合わせ、家を勢いよく飛び出していった。


(2009/12/21 00:26)